(まちづくり提言③)
広島市民球場が移転し、10年以上が経過しました。その跡地利用について、ようやく骨格がまとまりそうな感じとなって来ましたね。
全体のイメージ図としては、次のような空間整備をイメージしている様子です。
これまで、散々議論してきたのです。今更、全体的な方針についてどうこう言うことはしません。このページでは、今の方針に沿って、その中で、「もっとここはこうした方が良いのではないか」というものについて語っていきたいと思います。
① 屋根付きイベント広場
今の計画の中で、一番のツッコミどころはここですね。イメージ図の段階とは言え、この広場、正直私は「う~ん」という感じです。「とりあえず、イメージ図を埋めろ。大きな広場なら何でも使えるし無難だろ。屋根があれば便利かもね」と言っているようにしか見えません。
「1万人が収容できる屋根付きイベント広場」と言いますが、正直、ちょっとイメージが湧きません。大きさをイメージにすると、恐らく、よくあるフットサルコートよりも一回り大きい程度の屋根付きの空間、という感じになるのかな、と思いますが、それがどんな魅力的な空間になるのか、どんな活用をされるのか、ちょっとイメージが湧きません。
個人的には、拘るのは「屋根付き」とか「1万人収容」とかではなく、「如何にして人が行きたいと思う広場にするか」ではないかと思います。参考として、神戸・メリケンパークを見てみましょう。
いくつかポイントを見てみましょう。
まず、「BE KOBE」。理屈抜きに、純粋にカッコいいですね。インスタ映えしそうです。広島でも、こういう「インスタ映えスポット」を作りましょう。
とは言え、単純に真似をして「BE HIROSHIMA」だとか、広島お得意の「PEACE」だとか、そのまんまのことをやってもちょっとつまらない。「世界のヒロシマ」らしく、世界に通じるシンボルを作りましょう。例えば、文字で表現するなら、アメリカのオバマ前大統領の「YES,We can」とか、ヒロシマならではの表現があると思います。
また、大きな地球儀のオブジェを置いたりしても面白そうですね。その地球儀の、日本の場所には「平和」と書いてあり、アメリカの場所には「PEACE」、スペインの場所には「PAZ」と書いてある、というような。インスタ映えする、素敵なスポットになる気がします。
次に、ポートタワー。市民球場跡地は、条例により高さ規制があるので、ポートタワーのような高い建物をむやみに建てることは出来ません。しかし、です。条例の目的は「良好な景観を創る」ことにあるはずで、「高いからダメ」とか言う単純な理屈にはならないはずです。つまり、素敵な景観を創り出すことが出来るなら、高い建物だろうがどうだろうがよいのでは、と私は思います。
今の平和記念公園。設計した丹下健三氏の構想では、元々大きなアーチを架ける構想でした。この構想を市民球場跡地で復活させましょう。右図のようなイメージです。
このアーチ。ただ単に税金で建てるのではなく、世界中の人々からの募金で建てたら素晴らしいですね。合言葉は「ヒロシマに世界市民の力で、大きな大きなアーチを架けよう」で、名付けて「サグラダファミリアぱくりプロジェクト」です。完成したら、いや、建設途中でも、凄い注目を浴びる施設になるのではないかと思います。
その他にも、以前少し話のあった「産業奨励館復元プロジェクト」とか、色々考えられるな、と思います。広場として整備するのはOKだと思いますが、どうせなら、もっと拘って、素敵な空間にしたいものだ、と考えます。
②野外ステージ付きイベント広場
これは個人的にはぜひ設置をお願いしたいものですね。
市のイメージ図のように、「フラワーフェスティバルの1イベント会場」とか、「8月6日の平和コンサート」のような使い方が第一に考えられますが、他にも、例えば「アマチュアオーケストラのコンサート広報のためのミニコンサート」とか、「吹奏楽のフェスティバル」とか、色々考えられると思います。
理想を言うならば、毎日のようにイベントが行われる空間になれば良いですね。ランチタイムに、地元高校生のブラスバンド聴きながらお弁当食べるって、素敵だと思いませんか?
③文化芸術施設
現在の中央図書館の位置と、メルパルク広島の隣の2箇所に予定されている文化芸術施設。いわゆる「ハコモノ」ですが、ここは、広島市の方針で概ね正解かなと思います。次のようなものですね。
・既存施設(青少年文化センター、中央図書館等)の集約化、多機能化
・音楽専用ホール(広島交響楽団の使用を想定)
・コンベンション施設(主に会議場)
ただ、本音を言うと、欲しいものはたくさんあるのですよね。現在の方針や、都市公園法の制約を無視して、少し欲しいものを考えてみましょう。
・アリーナ
広島都市圏に、大規模ライブが開催できる会場が不足している、と言うのは周知の事実でしょう。㈱夢番地など、音楽業界3社が共同で提出した文書によれば、広島グリーンアリーナでは有料興業の日数制限等の制約があるため、2017年度で「7公演・動員約9万人」が開催できず、「経済効果約3億円」を失ったとのこと。
一方で、県によると、グリーンアリーナの使用状況はほぼフル稼働で、これ以上有料興業の割合を増やすのは難しいとのこと。
勿体ない話ですね…。理想を言うなら、もう一つ広島グリーンアリーナが欲しいのですが、そこまではなかなか言えないところがありますね。
ところで、広島グリーンアリーナの使用の9割以上を占めると言う、アマチュアスポーツ等の利用。本当にグリーンアリーナでないと開催できないものばかりなのでしょうか?最大1万人収容可能と言われる観客席が必要なのでしょうか?
出来るなら、小さめのアリーナを市民球場跡地に建設し、アマチュアスポーツ等は出来る限りそちらを使ってもらう。その結果、グリーンアリーナの稼働率が下がり、大規模ライブなどが誘致しやすいようになる、ということを考えても良いかもしれません。今の球場跡地イメージ図よりも、施設が大きくなり、広場の面積が小さくなってしまいそうですが、まあ、良いのではないかと思います。
・展示施設
近年にわかに注目されるようになった「MICE」。要するに、大規模会議や学会、展示会のことですが、広島ではこれらに関する施設のうち、「展示施設」が遅れている、というのはよく聞く話ですね。「なので、展示施設を市民球場跡地に…」と言いたいところですが、展示施設を建てる場合、球場跡地全体を簡単に使い切ってしまうことになります。
さすがにそれでは問題だろ、と言うことで、これは出来れば、中央公園(サッカースタジアム建設予定地の隣)に建てたいところです(都市公園法の問題がありますが、ここでは、まあ、ちょっと置いておきます)。
もし、中央公園に展示施設が出来れば、既存のグリーンアリーナやリーガロイヤルホテル、メルパルク広島やNTTクレドホール、そして球場跡地に新設されるであろう会議棟と併せて、一大MICEセンターの出来上がりです。今、MICEについては、経済界からの要望により、行政が研究を進めていますが、ゼロから造るより、既存の施設を活かすことを考えましょう。その方が合理的ですし、モタモタしていると広島はまた時代に取り残されることになってしまいます。既施設を活用しながら、さっさと進めましょう。
・バスセンター
球場跡地に隣接するそごう広島店の建て替えの話が出て来ています。
そうなった場合、「じゃあ、バスセンターどうするの?」という話になりますね。
建て替え後にまたそごうにバスセンターが入居するかどうかも分かりませんが、とりあえず、最低でも一時的にはバスセンターが移転する必要が生じます。
その移転場所をどうするか。今の球場跡地か、中央図書館の場所以外にあり得ないでしょう。ここは、じっくり調整して、後々に困らないように整備を進めてもらえればと思います。
以上、市民球場跡地についてでした。もうそろそろ、腹を決めて整備を進める時期が来ています。今後の展開に期待したいと思います。
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