幟 町 散 策

(広島観光案内①)

 私の最も好きな街の一つに、「中区幟町周辺」があります。高級マンションが建ち並び、エリザベト音楽大学からは音楽が流れ、隣接する世界平和記念聖堂が厳かに鐘を鳴らす…。広島の都心・八丁堀から徒歩5分の立地とは思えない、落ち着いた、上品な街です。
 この街の主役は、やはり世界平和記念聖堂。まずは、この聖堂の魅力から見て行きましょう。


 まず、建築としてのこの聖堂の魅力ですが、それはこのサイトでは省略します。様々なサイトで、この聖堂の建築としての魅力は取り上げられているので、そちらを参照してください。(下に一つ、サイトを紹介しておきます)
 2006年に国重要文化財に指定されたこの聖堂。やや重たい感じがするのは確かですが、その分、落ち着きがある素晴らしい聖堂です。
 さて、この聖堂には巨大なパイプオルガンが設置されています。このオルガンは、ドイツ・ケルン市から寄贈されたもので、日本初の本格的なパイプオルガンとして設置されました。
 寄贈の際、ケルン市長は市議会に対して、戦争に対する反省、平和への願い、そして同じ戦災被害に対する同情を強く語りかけたとのこと。忘れてはいけない歴史ですね…。
 そしてこの聖堂では、このパイプオルガンを使った演奏会が定期的に開催されています。

 基本は、毎月第一日曜日16時から(例外あり)。この演奏会では、宗教音楽に興味がある市内の合唱団が賛助出演することが多く、その場合、オルガンの音色と合唱の両方を楽しめます。実は、私もこの聖堂では定期的に歌わせていただいており、最も親しみがあるコンサート会場の一つです。その体験を踏まえて、この演奏会をPRします。

①オルガンは必聴
 合唱はともかく、オルガンは必聴ものです。間違いなく、音楽に詳しくない人でも楽しめます。聖堂全体に響き渡るオルガンの音色。一度でもここのオルガンを聴くと、結婚式場のチャペルのオルガンなど、もうおもちゃとしか思えなくなります。

②雰囲気を楽しもう
 当然のことですが、ここは「聖堂」であり「音楽ホール」ではありません。その分、普段の音楽ホールでは味わえない楽しみがあります。
 優れた建築の中で、目の前のイエス像を眺めながら、オルガンの音色に耳を傾ける…。天井が高いため、オルガンや合唱の音色は非常に高いところから聞こえてきます。まるで天上の音楽です。
 「しっかりと音楽を聴く」というよりも、「雰囲気を楽しむ」演奏会ですね。

③気軽に楽しもう
 ここでの演奏会は、普通の音楽ホールでの演奏会より、随分気楽に楽しめます。演奏中の入退場は可能だし、少々の咳払いも気にならない…。きっと、この聖堂の雰囲気がこれらのことを許しているのでしょう。また、演奏会の時間が1時間程度というのも良い。聴くことに疲れない演奏会です。
 ちなみに、以前私が参加したときの演奏会の写真を貼っておきます。こういう雰囲気が好きな人からすれば、たまらない演奏会だと思いますよ。素晴らしい建築と音楽のコラボレーションです。


 

 世界平和記念聖堂の紹介が長くなりました。この聖堂を中心とした、周辺の観光半日プランを立ててみました。いかがでしょう?

 

12:00 都心部・八丁堀で昼食をとります。
13:00 まず、路面電車にのって県立美術館縮景園に行き、見学します。

(縮景園)
(縮景園)
(縮景園と県立美術館)
(縮景園と県立美術館)

14:45

  次はもう世界平和記念聖堂を目指しますが、せっかくなので、ぶらぶらと散歩しながら聖堂を目指しましょう。県立美術館の向かいにある「ギャラリーG」や、女学院前の「藤棚の道」など、この周辺には個性的な空間がいっぱいです。

広島有数の高層マンションに隣接する「ギャラリーG」
広島有数の高層マンションに隣接する「ギャラリーG」
女学院前「藤棚の道」
女学院前「藤棚の道」

15:30

世界平和記念聖堂到着。演奏会開始まで、この聖堂をじっくり見学します。尚、聖堂の隣にあるエリザベト音楽大学界隈は、建物の壁面や道路上など、グレゴリオ聖歌の譜面(ネウマ譜)で埋め尽くされています。どこにあるか、興味のある方は探して下さい。

エリザベト音楽大学
エリザベト音楽大学
校舎一面、ネウマ譜で埋め尽くされています。
校舎一面、ネウマ譜で埋め尽くされています。

16:00 平和記念聖堂でのパイプオルガン定期演奏会を楽しみます。

17:00

演奏会終了後は、河川敷のオープンカフェでくつろいだり、北欧音楽のCD専門店・ ノルディックサウンド広島を訪れたり、また、急いで広島駅まで帰ったりと、各自の予定にあわせて行動して下さい。

オープンカフェ(PART1)。ここには4店舗のカフェが連なり、地元名産「牡蠣」を取扱っているオイスターカフェもある。
オープンカフェ(PART1)。ここには4店舗のカフェが連なり、地元名産「牡蠣」を取扱っているオイスターカフェもある。
左写真のカフェからの風景。このレトロ調の橋は「京橋」と言い、この川は橋の名前から「京橋川」と名付けられた。(じゃあ、橋が架かる前は何という名前の川だったのだろう…)
左写真のカフェからの風景。このレトロ調の橋は「京橋」と言い、この川は橋の名前から「京橋川」と名付けられた。(じゃあ、橋が架かる前は何という名前の川だったのだろう…)

ノルディックサウンド広島。北欧音楽のCDがずらりと並ぶ。全国的に見ても珍しいお店。
ノルディックサウンド広島。北欧音楽のCDがずらりと並ぶ。全国的に見ても珍しいお店。
オープンカフェ(PART2)。この形態では、  ホテルフレックス(キャラントトロワ)、JALシティ広島(写真)、RCC文化センター、MUSIMPANENが営利目的のカフェを営業している。
オープンカフェ(PART2)。この形態では、 ホテルフレックス(キャラントトロワ)、JALシティ広島(写真)、RCC文化センター、MUSIMPANENが営利目的のカフェを営業している。

 私は不思議に思います。これだけ魅力ある空間なのに、どうして観光地として認知されていないのでしょう?  教会建築が観光地になっている例は他都市ではわりとあるのですが…(山口県のザビエル記念聖堂とか)。観光雑誌を見ても、幟町を取り上げているものは皆無です。PRが足りないのかな…。
 …ただ、この周辺が俗っぽい観光地になってしまうのも考えものです。平和記念聖堂で、若者がはしゃいでいる姿を想像したら、それだけで気分が悪くなります。「メジャーではないけど、こだわりがある人が集まる街」という位置づけくらいが良いのかも知れません。
 ということで、下にこの周辺のMAPをつけておきます。まち歩きを楽しみたい方には、お勧めの街ですよ。


おまけ①:幟町の素敵なお店
 この地域は、「オシャレなイタリアンやフレンチのお店が多い地域」と広島でも話題になっている地域であり、私もちょくちょくお世話になっている地域です。

 本文中では取り上げ切れませんでしたが、私のブログ「広島の街と音楽と…」「幟町」カテゴリで、定期的にこの地域のお店を取り上げていますので、ぜひそちらもご覧いただければと思います。
 参考までに、2店ほど、下記に紹介しておきましょう。皆さんも、是非、様々なお店を訪れてみてください。


 ビストロ・ド・イベントス(写真左)と、ダイニングjin(写真右)。貧乏人の私からは、この地域の中でも若干お手軽感がある上記2店をご紹介します。お手軽感はありますが、素敵なお店ですよ。また、MAPに書いた「ル・トルヴェール」のような、もっと高級な素敵なお店もたくさんあります。そういうお店については、私は滅多に行かない(行けない)ので紹介出来ません…。どこか他のサイトででも情報を得てくださいませ…。


おまけ②:幟町の魅力を広めるために

 私の最も好きな街である幟町。この街の魅力を広めるため、こういうページを作成していますが、所詮は個人が運営するサイトです。情報発信能力に限界があります。「ぜひ、一緒に幟町の魅力を広めていきたい!」と思われる方。ご連絡ください。一緒に、何か動いていきましょう。具体的には、ガイドブックの作成などが考えられます。みんなの力で、幟町を広めていきましょう。こちらよりご連絡をお願いします。


関連リンク